※この文章は、わたしの大学での講義
「流通論」を受講している
みなさんを想って書いています。
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社会科学
(社会、経済、経営、政治、法律などを扱う)は
現実を貫く(:串刺しにする)原理に触れます。
その関連で、有名な言説(●●説)が登場します。
わたしの担当する流通論でも、
小売機能のところで
「真空地帯」説と「小売の輪」説を
説明しました。
たとえば、「小売の輪説」説は
こんなスライドを使って話をします。

さて、ここで言っておきたい事があります。
有名な言説を、何のために紹介する?
狙いを考えてください。
わたしの見解は、以下の通り。
社会科学は、現実の理解から始まります。
ですから、
現実の一端を感じる feel ところから
学びはスタートします。
この流れの中で、
有名な言説は、現実の理解を助ける
手がかりとして登場します。
・有名な言説は、ただの手がかりです。
・その手がかりは、有名な言説を
なぞらずとも、別の言い方で表せます。
・有名な言説を「憶えている!」は
表現の1つを知ってま~す!
というアピールになります。
・しかし、現実を理解している!
という事にはなりません。
ここが肝心。
もう一度、整理すると…
「真空…」も「小売…」も手がかり。
何のための手がかり?
それは、小売機能の変化・変容を
イメージするときの手がかり。
世の中の現実を知るための手がかり。
このところ、しっかり押さえて
ください。
もう少し話を広げましょう。
社会の現実問題に臨む社会科学。
(経済、法律、政治、社会、地球…)
その言説(理論と称す場合も)は、
どんなに有名でも万能ではありません。
(言説よりも、現実の方が複雑で多彩)
(現実の部分を想像!には使える)
(ただ、それだけの存在)
「真空地帯説」「小売りの輪説」も、
現実の部分を理解する手がかりに
すぎないのです。
その事を誰かに説明できたら、
あなたは、社会科学における
有名な言説の使い方を
マスターした事になります。
意識してみてください。
できたら説明してください。
【教室に居ない皆さんへ】
この稿は、わたしの授業を
受けている人に向けましたが、
内容は、世の中全般に
つながっています。
日頃、感じていらっしゃる
かもしれませんが、
大学、企業内教育の区別なく、
不勉強もしくは安易な教育は
社会科学の目的を忘れ、
ここに挙げたような有名な言説を
知っている?知らない?の
【教養主義】【クイズ的強迫】の
鎧(=威張り)として用い、
お茶を濁そうとします。
教える方は楽チンですが…
それは愚かで、虚しい。
わたしは、そう思っています。