ラジオ、テレビより地味。
でも、素晴らしい。
世界をアッと言わせます。
そんなラジオ番組
Salaam Shalom(UK、2007年)の
話を書きます。
これはラジオ史の偉大な事件。
伝説といってもいい出来事なのです。
2007年2月のことでした
UKに住むアラブの方とイスラエルの方が、
ローカルFM局“BCfm Radio”の同じ番組に
交互に参加しました。
最後は、一緒に出演しました。

世界は、驚きました
ご存知のように
パレスティナとイスラエルは
今も戦争状態にあるからです。
殺される。殺す。殺される。殺す。
憎しみは膨張し、対立は激しくなるばかり。
ですから、無理だろうと
多くの人が思い込んでいました。
でも、人として解り合えるはず。
この想いが、
ラジオ番組になったのです。
その番組名、
Radio Salaam Shalom
Salaam はアラビア語の「平和」、
Shalom はヘブライ語の「平和」を
意味します。
このラジオ放送は
インターネットで配信されたために
世界中の人々に届きました。
世界中が聴きました。
放送は終わりましたが、
音源は iTunes store で公開されています。

機会があれば 聴いてください
以下の、風景が現われます。
アラブの方も、イスラエルの方も、
最初は、身を固くしています。
色々な感情が内側で渦巻いている様子が
伝わってきます。
その空気の中で
まず、それぞれが自分たちについて
語ります。
次に、相手の話に耳を傾け始めます。
そして、遂に番組に一緒に出て…。
ものすごい緊張感の中で、
何かが生まれていく過程を体感できます。
実は、その様子を
NHKがドキュメンタリーにして
放送しました。いい番組でした。
この撮影、彼らにも印象的だったようです。
Radio Salaam Shalom のページには
Japanese television even came to Bristol
to film a documentary about us.
(:日本のテレビ局さえ来たよ。
ブリストルにね。撮るためさ。
ドキュメンタリーさ。私たちについての)
という一文があります。
NHKの名はないけど🤣
ちなみに、Salaam Shalom は、
両者の交流を支援するNPOの名前でも
あるのです。今も活動しています。
ところで、ラジオって
大きな可能性を秘めています。
Radio Salaam Shalom は
ノーベル平和賞級の状況を
実現しました。
受賞しなかったけれど、
凄い!
世界遺産ならぬラジオ遺産があったら
登録は確実でしょう。
そして、そして、
この番組はインターネット配信されました。
インターネットラジオは世界中に届きます。
拍手は世界中から届きます。
すばらしい仕事をすれば、
世界の人から認められる。
ラジオはそんな時代に入ったのです。
そう考えると、ラジオの可能性って
どんどん高まっていく感じがします。
いろいろな事ができるはず。
今までは、伝説のラジオ番組というと、
全米をパニックに追い込んだ
オーソン・ウェルズの『宇宙戦争』の放送
(テレビのない時代、宇宙人襲来と勘違いさせた)
ニッポン放送のオールナイトニッポンで
DJが急逝したと嘘を流した放送
(「吉田拓郎死亡放送」と呼ばれる)
のようなトリッキーな番組ばかりが
話題に上りました。
でも世界を動かすような仕事じゃない。
世界から拍手されるような事でもない。
その意味で、まだまだ。
では出来ないのか?
それも違います。
Radio Salaam Shalom には
出来たのですから。
ラジオって、いつもテレビと
比較されて、自信なさげで、
どこがいじけてる感じがしますが、
テレビでは出来ない、それでいて
世界をアッと驚かせる!
変化を起こせると思います。