戯曲(ぎきょく): 芝居の脚本(シナリオ)
手にとって、パラパラめくると…
芝居の幕場(例 第〇幕・第〇場)ごとに
場面の状況、登場人物とその台詞(せりふ)が
書かれています。
とはいえ、場面の描写はあっさり。
ほとんどを台詞(せりふ)が占めます。
今日は、そんな戯曲のお話。
戯曲って、
風景の描写は舞台が代筆してくます。
その分、人物の息づかいに集中できます。
小説より戯曲
三島由紀夫さんは、そう想っていたような。
映画『ローマの休日』(1953年)の
オードリー・ヘップバーンさんも
そうだったような。
役者さんは、戯曲上の人物をまず再現し、
そのイメージを超えていきますよね。
そこまでは無理でも…
素人も 声に出せば
言葉って、輝き出します。
<わたし>=ど素人が
言うんですから間違いありません。
実は音読練習しています。
台詞を口走るんです。
ウルトラマンの「シュワッチ」
松田優作さんの「なんだ、こりゃ」
そして
ドラマ半沢直樹の「10倍返しだ」😂
なんかも混ぜ混ぜで、色々。
あなたも
戯曲に書いてある台詞を
その人物になりきって
発してみてください。
文字を目で追うときとは、
まったく違う世界が
あなたの中に現れます。
たとえば、
近松門左衛門さんが書いた
こんな台詞はどうでしょう。
「情けなや忠兵衛様 なぜ其のように上らんす」
(『冥途の飛脚』より 遊女・梅川の台詞)
愛する忠兵衛のぶざまを 人目をはばからず嘆く。
その場面での台詞です。
「地獄へも極楽へも 連れ立つて下さんせ」
(『心中天網島』より 遊女・小春の台詞)
これは心中する直前の台詞。
悲しくも安堵を感じさせる場面で語られます。
どちらの台詞も感情が昂り、爆発寸前。
でも、まだまだ。
グッと堪えて、全部は出さない!
な緊張に満ちています。
近松さんの書く台詞は、強いですね。
この2作品のような
心中物(:二人で死ぬしかない…)は、とくに。
もし、あなたなら、
どう発しますか?
たとえば、先ほどの台詞
「情けなや忠兵衛様 なぜ其のように上らんす」
発してみてください。
印象が毎回違ってきませんか。
とくに「情けなや」の所。
あるときは、怒っている様であり
あるときは、愛している様であり
あるときは、蔑(さげす)んでいる様。
文字としては同じですけど。
あぁ、言葉というのは…
声に出して、ナンボ
その世界を
役者さんは台詞を介して楽しんでます。
「自分たちだけ、ずるい」と思うので、
みんなで、楽しみましょう。
