「本を贈る」について

みなさん、こんにちは
 
今日は、本をプレゼントするって?を
考えてみます。

「これ、知ってるか」と
お父さんが高校生の息子に
沢木耕太郎の『深夜特急』を手渡す。

そんな気持ち、そのときの気持ち。

本のバレンタインデーと誤解された
4月23日の聖ジョルディの日
(サン・ジョルディの日)。
その本当の意図。

世界本の日 World Book Day みたいな
読書推進運動じゃなくて、
プロモーションじゃなくて。

そんな話を交えながら、
「本を贈る」について思いを巡らします。

コンテンツは以下の通りです。

それではまず、
本を贈る人の気持ちに
フォーカスしてみましょう。

本をプレゼントするシーン

本を贈る。
先ほどのシーン、あり得るかも!と
思い描いてみました。⤵️


#シーン1 高校生の息子に

「これ、知ってるか」と
お父さんが
沢木耕太郎の『深夜特急』を手渡す。

『深夜特急』は
著者の沢木さんの世界貧乏旅行紀です。
その本をこれから高校を卒業する息子に渡す。

たぶん内容は言わない。
なぜ手渡すかも言わない。

息子も父の意図を掴みかねている。

静かな食卓。金曜日の夜。



まったくの想像ですけど、
「本を贈る」って、
こんな雰囲気があるように
思えるんです。

本を贈る難しさ

シーンを描いて、
あたらめて思ったんですけど、

本って、軽くない贈り物だと
思います。

贈るのは本の内容で、
内容は贈る相手のために選ばれるはず。
(cf.政治家が自著を配るのは違います)

つまり、その本が相手の的を得ているほど、
贈り主は相手の内面に接近しているわけです。

それって、キモいです。親しくても。

「あなたは恋愛ベタだから、
 恋が上手になるこの本を贈る」

そう言われたら、相手が誰であれ、
捨てたくなる。

「余計なお世話!」と言ってみたくなる。


それでもグッと堪えて、

「あぁ、この人、わたしのこと、
 真剣に考えてくれたんだ」と思ったとしても

贈られた本を読むって、

「いろいろと忙しいし、
 今、気分が乗らないし、
 先に読む本、決まってるし、

 でも贈った人は、感想とか
 そういうの、期待してるんだろうな。
 面倒くさいな。
 『最悪でした』とも言えないしな。
 贈ったこと、忘れてくれないかな」

と思われても不思議じゃありません。

そう考えると、
本を贈るって難しそうです。

「サン・ジョルディの日」の本当

でも、スペインのカタルーニャの人たちは

愛する人に花をプレゼントするって、イイね。
今日は、本を添えてみたら?

🌹+📖 😍

こんな提案をしているのです。

贈る人ですが、
ご家族、友だち、誰でもいいそうです。

娘さんが、お父さんへ🌷。
「この本も、読んでみて」と、花を添えて。

友だちどうしで
「この本、よかったよ~!」
押し花🌼のしおりと一緒に。

このパタン、すべてあり。

でも、どの国にも、恥ずかしがり屋さん、
照れ屋さんはいます。

そこで、きっかけが欲しい人に、
特定の日付を差し上げましょう。

で、 Diada de Sant Jordi
(聖ジョルディの日、サン・ジョルディの日)
である4月23日を選びました。

みんなで贈れば、怖くない。😆

機会を逃さないように、別名も。
El dia del Llibre(「本の日」)って
呼んでおこうか。

そんなノリみたいです。
¿Sabías?(ご存知でした?)

このカタルーニャの洒落っ気、
いいな!と思いました。

プレゼントのメインは、花💐。
(=「愛してるよ〜、大好きだよ」)

そのオマケに本📗。ワイン🍷でも
チョコ🍫でもよかったんだけどね。🙂

今日は何となく、
本の気分だったんだよ。

これなら、贈られた人も
気軽に受け取れます。

カタルーニャのみなさんに
👏🏾👏🏾👏🏾👏🏾👏🏾

本は気軽に!

ところが、
本の業界(出版、書店、図書館を含む)は
サン・ジョルディの日を使って、
「本を!本を!」の大合唱。

サン・ジョルディの日の
洒落っ気(=カタルーニャの文化)にふれず、
いきなりの

 世界本の日 World Book Day  あっそう!

 世界図書・著作権デー
  World Book and Copyright Day  それで?

 子ども読書の日 なんじゃ、そりゃ?

を強力プッシュ。

もはや何の日か、誰にも分からない状態。😅
(日本語だと「世界本の日」は、とくに意味不明。
 世界本って?)


本は大事だし、
読書の習慣を定着させたい!っていう
業界の狙いは理解できますが、
余りにも自己都合というか、
身勝手というか、
主旨を捻じ曲げている気がします。

あの最悪な曲解プロモーション
この日は本のヴァレンタイン・デー
本を贈って、愛を告ろう!
😘(キモ!) 
は、さすがに無くなりましたけど…


ということで、
ちょっと、まとめっぽくなりますけど、

「本を贈る」って、
そんなに真面目に、重々しく考えるの、
止めにしませんか。

気軽でいいと思うんです。

サン・ジョルディの日、本来のノリで!

「今日は、本なんか贈っちゃおうかな!」

「古本屋で、こんなの見つけたよ」

「この本、面白かったよ。あげる!」

これでいいと思うんです。

※この気軽さ、アメリカで広がっている
 Little Free Library 運動(自宅の前に
 図書ボックスを作る!)に通じていると
 思います。

それでも、どうしても
4月23日にこだわりたいのなら、

本来の、カタルーニャ地方の
習慣、文化、気持ちに敬意を表して、

⤵️のイラスト(下手で🙏🏾)くらいの
PRに留めるほうがカッコイイと思います。

           矢嶋 剛

Felicitació, del dia de Sant Jordi. Happy Sant Jordi's Day. 23 avril est le jour de Sant Jordi. 4月23日はサン・ジョルディの日です。ステキな本を愛する方へ。矢嶋剛のイラストです。

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