フィルム・ノワールの原作に慄(りつ)

みなさん、こんにちは
 
今日は、最近ハマっている本の話を
書きます。

フィルム・ノワールの原作小説を
読んでいるんです。

フィルム・ノワールは、
フランス語で、Film noirと
綴ります。

Film は映画、 noir は黒。

ですから直訳すれば、
黒映画、闇映画となるのでしょうか。

そんなフィルム・ノワール(怖!)に
ついて説明していきます。

コンテンツは以下の通りです。

では最初に
映画フィルム・ノワールの説明から。

フィルム・ノワールの魅力

フィルム・ノワール。

その特徴は、
主人公が次第に追い詰められていく
犯罪映画であること。

映画のパタンは
いくつかあって、

軽い気持ちで誘いに応じたら
犯罪に手を染めてしまって、
バレたら人生が台無し!


や、

何もしていないのに
犯罪者にされてしまう
わたし。助けて!


が典型です。


前者(犯罪に手を染めて)の代表作が
ジャンヌ・モロー主演の映画
『死刑台へのエレベーター』です。

年老いた夫と別れたい人妻が
若い愛人と夫の殺害を実行。
上手くいくはずだったのに…な
1958年の映画です。

(ジャンヌ・モローが虚な表情で
 夜の街を歩くシーンが有名)


アルフレッド・ヒッチコック監督の
ハリウッド最初の作品『ロープ』Ropeも
このパタンに属します。

後者(犯人に仕立てられてしまう!)
代表作は『私は告白する』I confess です。
1953年の作品。

犯罪者の告解(懺悔)を
聞いてしまったために、
自分が犯人にされてしまう
哀れな神父の物語です。

ぜひ一度、ご覧ください。

映画から原作小説へ

フィルム・ノワールの面白さは、
まず映画になって、後に原作が注目される
点にあります。

たとえば『深夜の告白』(1944)。
この原作は映画の脚本です。
映画がヒットして、原作を求められ、
小説などないから脚本を原作として
公開しました。
(この脚本を書いた作家が
 レイモンド・チャンドラーでした)


この順番、逆の場合もあります。

原作が有名になって映画化される
フィルム・ノワールもあるのです。

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』は
同名の原作小説を後に映画化した
(犯罪に手を染めて)作品ですし、

(犯人に仕立てられてしまう!)映画に
山田洋次監督の『霧の旗』がありますが、

あれも松本清張さんの原作小説(同名)が
ヒットした後に、映像化されました。

ですから映画を観た人は
「あぁ、こういう風に撮ったのか」を
確認する風があります。
(監督に勝手に筋を書き換られた
 その人、死んでるだろ!映画『砂の器』に
 ついては後日、書こうと思います)


ですから、
映画から読書へ!が成り立たない場合も
ありますが、フィルム・ノワールが
盛んだった1950年代の映画の原作って、

映画のために書かれた脚本だったり、
無名の小説を使ったりしているので、
原作小説を読んでいないケースが
多々あるのです。

最近読んだ原作小説もそのパタン。

どんな話なのか、ご紹介します。

最近読んだ2冊

1冊めは、『上海から来た女』。
これはオーソン・ウェルズさんが
映画化(1947年)したときのタイトル。

犯罪に巻き込まれていく主人公。
わけもわからず、状況はどんどん悪い方へ。

すごく、おもしろい。

公式ブログ・矢嶋ストーリーnewsの「フィルム・ノワールな読書日記」という記事のOGP画像です。フィルム・ノワール。フランス語で黒の映画。主人公が次第に追い詰められていく犯罪映画を言います。そのフィルム・ノワールの代表作の原作小説を読んだので、その訳本の表紙を2つ並べてみました。右がシャーウッド・キング著『上海から来た女』(原題"If I die before I wake")、左がJ・H・ウォーリス著『飾り窓の女』(原題"The woman in the window")です。どちらもとても面白い。ミステリーファンにオススメの2冊。

しかし、
上海から来た女は出て来ません。

というもの
元の作品名はぜんぜん違っていて、
“If I die before I wake”。
訳せば『死ぬかも。目覚める前に』。
上海、まったく関係なし。

みなさんも読み終えたら思うはず。
ウェルズさん、なぜ『上海から…』に?
「ギョッとする異物」で観客を驚かす
彼独特のいつもの演出?
(『宇宙戦争』『第三の男』)

こうも想います。

ウェルズさんの仕掛けで損をしたのが、
作者のシャーウッド・キングさん。

内容と全然関係ない『上海から…』で
わたしたちに検索されてしまうなんて。
名作なのに。面白いのに。

ネタバレできないのが残念ですが、
ぜひご一読ください。

そして出版社のみなさま、
『上海から来た女』の放置は
もったいないです。
改題・再販すれば、売れそうですよ🥳

もう1冊は、J・H・ウォーリス著
『飾窓の女』The woman in the window
です。

こちらは、
オーソン・ウェルズ的いじりもなく、
(セーフ😇)
映画タイトル=原作小説タイトルに
なっています。映画化は1944年。

テレビの二時間ドラマにありがちな、
刑事・名探偵的主人公が謎を解き明かす!
に飽き飽きしている方に、とくにおすすめです。

「いつ警察に捕まるか?」でビクビクする
主人公の心理。あぁ、これ以上は言えない。

ぐっとこらえる中、
少しだけ作品の雰囲気をお伝えすると…

この作品を密かに読んで
「あぁ、こういう風に書けばよいのか!」を
学んだ日本の推理作家のセンセイたち、
かなりいる? そう踏んでいます。

そんな衝撃も楽しめそうなこの作品。
こちらも再発売したら売れる気がします。
ほんとうに、かなり面白いです。
(映画より小説のほうが👍🏾)

お宝、いっぱいかも

というわけで、
フィルム・ノワールと言われる映画の原作は
秀逸が埋もれてる予感、濃厚なのです。

ですから最近は、
フィルム・ノワールな作品を探して
地元図書館の蔵書をチェック&読書。

幸い、Wikipediaには
フィルム・ノワールなリストが載っていて
(こちら)、そこから、わたしの読書の
進捗状況を書いてみると…

映画を観たし、原作もを読んだ! が

『深夜の告白』 Double Indemnity (1944)
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
 The Postman Always Rings Twice (1946)
(1943年のルキノ・ビスコンティ監督版は未だ)

映画を観たけど、原作まだ…は

『白い恐怖』Spellbound (1945)
『第三の男』 The Third Man (1949)
『めまい』 Vertigo (1958)
『死刑台のエレベーター』
  Elevator to the Gallows (1958)
『北北西に進路を取れ』
  North by Northwest (1959)

映画も原作も知らない…が

『拳銃貸します』 This Gun for Hire (1942)
『ギルダ』 Gilda (1946)
『過去を逃れて』 Out of the Past (1947)
『白熱』 White Heat (1949)
『夜の人々』 They Live by Night (1949)
『アスファルト・ジャングル』
  The Asphalt Jungle (1950)
『現金に体を張れ』 The Killing (1956)
『狩人の夜』 The Night of the Hunter (1955)
『キッスで殺せ!』 Kiss Me Deadly (1955)

まだまだ、楽しめそうです。

雑誌でフィルム・ノワール特集、
やればいいのに。

そう思いながら、
フィルム・ノワールのロゴっぽい
イラスト(「慄」をイメージ)を
描いてみました。⤵️

         矢嶋 剛

フィルム・ノワール film noir。フランス語で黒の映画。主人公が次第に追い詰められていく犯罪映画を言います。そのフィルム・ノワールの原作小説を読んだ感想を「フィルム・ノワールな読書日記」という公式ブログ・矢嶋ストーリーnewsのブログ記事にしました。その記事を表すOGP画像なので。film noir の文字をイラスト化。その下にnoirの頭文字Nをさらにイラスト化。ベットに見える?
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