紙の新聞と電子版は、 まったくの別物

 

新聞について書いてみます。
視点は情報接触。

利用者の視点から
新聞について考えていきます。

新聞には現在、紙と電子版の2種類があります。
その比較評価をしていきます。

でもその前に…。
新聞を読まない人も増えたので、
新聞そのものの評価から
話を始めたいと思います。

 

「どんなニュースもインターネットに。
 ですから、新聞を読みません」

という声をよく耳にします。

でもそれは大いなる誤解です。

別の言い方とするなら、
情報を必要としない日常から生まれる
誤謬(ごびゅう)と言えるでしょう。

 

というもの、

①インターネット上で公開され、
②わたしたちの目に止まる

この2つの条件を満たすニュースは
全体からみればごくわずかです。

あなたにとって重要なニュースでも
ネットニュース側がプッシュしなければ、
目に触れることは殆どありません。

😱😱😱

 

事実、わたしたちは、
多くのニュースを見逃しています。

意外に思われるかもしれませんが、
本当です。

芸能界、事件・事故、SNSの注目動画。
こうした情報がニュース風に語られる。

それが日本の「ニュース」の現状。

Yahooニュースのランキング然り、
夕方のニュース番組(例 news every.)然り。

NHKのニュースも大同小異。
メインは、日本政府のお知らせ。

比較すると、新聞はまだマシ。
でも、それさえ読まなければ…。

 

新聞が情報源としてマシなところ

どこまで持つか、わかりませんが、
新聞は5W(when who what where why)で
事実を記事化します。

※テレビのニュースと比べてください。
 テレビは、すごく曖昧なのです。

改めて書きます。
新聞記事の有用性は、その事実性にあるのです。

そして記事が多い=つまり事実が多い。
その数、テレビやラジオ、ネットニュースを圧倒。

ですからマシ。
新聞は、今でも有用な情報源です。

 

では、新聞を読んでいれば、
重要なニュースに辿り着けるのでしょうか。

 

時代の流れとして、
新聞社各社は、紙の新聞よりも電子版をすすめる
傾向にありますが、どうなのでしょう。

 

この問題を考えてみましょう。

 

新聞の紙面か、電子版か

ブログ・矢嶋ストーリーnewsの「紙の新聞 vs 電子版 どっちが凄い?」という記事のOGP画像です。 この記事は、従来からある紙の新聞と電子版を比較し、それぞれの有用性について述べています。 ですから、OGP画像にも紙の新聞と電子版を対比させるイラストを使用します。 イラストはシンプル。左に新聞紙を開いたような画像(紙の新聞を象徴)、右にタブレットを イメージさせる画像(電子版の新聞のシンボルとして)を置いています。両者の間には すこし空間があり、そこに「vs」の文字が置かれています。意味はversus(:vs.、対)。 両者の比較を暗喩しています。矢嶋剛・画。

両者の有用性を考えてみましょう。

議論の材料として、
1つのケース(記事の読み方)を示します。

今回は日本経済新聞で例示をします。

日本経済新聞の地方経済面(:全国報道する価値の
ないニュースを集めた特定都道府県向けの紙面)の
小さな記事を、わたしは次のように読みました。

 

それは、首都圏経済面の小さな記事でした

「 東京都八王子市で…
 水道料金、値上げするかも?」

 

日経自身が全国版に載せなかった小さなニュース。
しかし、この記事の通りになったら、社会や経済に
与える影響は非常に大きなものになります。

この先、以下の読みと展開が予想されるからです。

 

読みと展開1.

地方自治体は水道の維持費を捻出できなくなる。
八王子市は既に耐えきれないほど財政状況が悪化。
だから記者に情報をリーク。今回、記事になった。
首都圏で真っ先に悲鳴を上げたに過ぎない。
あとに続く自治体が次々と現れるはず。

読みと展開2.

地方自治体は水道の維持を諦めるかもしれない。
過疎地域(例 限界集落)で水道の維持を断念。
水道のない地域が全国で広がる。
同じ理屈が道路や電力に適用されていく。

読みと展開3.

水道を維持できない自治体から住民が出ていく。
水道の充実する都市部の人口が増加する。
地方と都市部のインフラに決定的格差。
財政赤字に陥る地方自治体に打つ手なし。

 

これが、この小さな記事のインパクト。

悲劇的展開ですが、地方自治体の財政運営を見ると
「ありうる」話です。

さて、
この記事の掲載後、何が起きたと思いますか?

 

案の上、…

・他の地方自治体も、悲鳴を公にしました

・国会で、水道料金を下げる方策が議論されました

・民間の会社に運営させる案が浮上しました

 

とても大きな流れを生み出したのです。

 

世の中 いきなり変わりません

何事にも兆しがあり、
それが徐々にエネルギーを蓄え、
ある日、表に姿を現します。
(事件になる、マスコミが騒ぐ)

その予兆が、さきほどの例では
日本経済新聞の首都圏経済面に現れたのです。

 

こういうニュースを探すには…

紙の紙面が有利です。

ざぁ~っと全体を見渡す中で
まったく気にもかけなかった「おや?」を
探し当てるのですから。

 

この情報収集感覚、
未来予想を仕事にしている人は
共通して持っています。

彼らは、
国内メディアが大々的に報じる「事後報告」

・〇〇法、国会で成立(議論してたんかい)

・企業の決算(儲かってたんかい)

・海外の動き(こうなってたんかい)

に興味はありません。
彼らにとって、これらはニュースではないのです。

 

この感性は
電子版の評価と有用性という議論に
つながっています

紙の新聞で見つけることのできる
まったく気にもかけなかった「おや?」。

それを電子版で見つけることは可能でしょうか?

残念ながら無理なのです。

最大の弱点はディスプレイの小ささ。

ひと目で見渡せる情報の数(=見出しの数)を
考えてください。

紙面>デスクトップPC>ノートPC>タブレット>スマホ

新聞の電子版も紙面風に組まれますが、
紙の新聞に比べて表示面積は小さい。

数が少ないので、電子版の読者は
検索で情報収集をおこないます。

 

その検索ですが、こんな癖を持っています。

①自分の知らない言葉を検索キーワードにできない
 (:既知の世界をウロウロ)

②サイト側の検索体系に無自覚に従いがち
 (例 関連記事を紹介)

つまり、
自分の関心(業界、仕事、仕事先)のニュースを
漏れなくチェック!には滅法強いのですが、
それ以上の広がりはあまり期待できないのです。

 

もう、おわかりでしょう。

電子版の本質は、
期間限定の新聞記事検索データベースです。

ですから電子版を利用するニュース探しは、
情報検索の作法に寄り添います。

紙の新聞とは根本が違うのです。

 

ここをどう評価するか? それは各自の自由です。

しかし覚えておいてください。
電子版は完璧ではありません。

 

いかがでしたか?

紙の新聞と電子版の話。

同じ記事を読めても、両者の機能は本質的に別。
有用性も当然のように違ってきます。

 

新聞やマスメディアを議論する機会があったら、
この事を想い出してください。

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