
本名、柴山元昭。江戸時代の禅僧。
伊藤若冲さんが描いた人物。
こんな容貌だったみたい。
で、彼は何をしたのか?
その名の通り、京の路傍で
点てた茶を売りました。
現代風に言えば、
ストリート・カフェを始めたのです。
翁と呼ばれた通り、彼は老人です。
実は、60歳を過ぎたとき、住職を辞め、
この商売に転じました。
暮らしは貧しかったと云います。
テントのような組み立て式の庵に住み、
ときには食事にも困ったそうです。
彼は何を求めて、この生き方を
選んだのでしょうか?
住職でいれば、僧として安穏と
生きられたにもかかわらず。
答えは、彼の遺した漢詩にあります。
その一部を拙訳とともに示せば…
過客頂知価半銭
(:通りすがりのお客様、
みなが知っていますよ。
値段はたったの半銭です)
一啜為君洗心腑
(:ひと口すすってください。
あなた様のためです。
心と体が洗われます)
彼は、
喫茶業を介し、会得した全てを
人々の意に沿う形で伝える道
を選んだのです。
(禅に詳しい方は、それが公案と
どうつながっているか?
お分かりになると思います)
彼は貧しいまま、死んでいきました。
後悔したか?は誰にもわかりません。
確かなのは、彼の生き方に
多くの人が心を動かされた、
ということ。
売茶翁的な道wayに
わたしは強く惹かれます。
参考:売茶翁について、
以下の文献から多くを学びました。
ありがとうございます。
福山暁菴編著『売茶翁』其中堂、1967年7月7日刊。