エリア・マーケティング 3.0

みなさん こんにちは
Hi friends!

今日は「エリア・マーケティングの今」
っていう話を書こうと思います。

1990年頃に盛り上がった初期(1.0)。
2000年頃に地域再生論へ転じ (2.0) 、
日本でも人口減少が始まった2008年を経て、
高齢化、観光国化、過疎化、
東京一極集中を前提に、
今、エリア・マーケティングは次の段階
(3.0)へ脱皮。そんな気がしているのです。

いったい、どういうことなのか。
その辺りをざっくり書きます。

それは新作
『地域発展の原理と8つのプラン』
書いた動機でもあるのです。

では、さっそく。
コンテンツは以下の通りです。

ではさっそく。
時計の針を1990年に戻して、
エリア・マーケティングが
盛り上がった頃の話をしましょう。

初動 エリア・マーケティング 1.0

マーケティング
(お客様😊を目指すアクション)に
もっと地域の問題を!

その機運が
エリア・マーケティング area marketing を
花咲かせました。

1990年頃の話です。
当時の日本はバブル経済の終焉期。
以後、不景気に転じていくのですが、
みんなまだまだ新しい消費に意欲満々。

おしゃれな場所、気になる所へ
出かけたい。

そう思っていました。
東京では隠れ家的スポット
(隠れ家という言い方、流行りました)
代官山、下北沢、奥沢、西荻窪あたりが
注目を浴びていました。

一回も行ったことがない。
でも、ちょっとオシャレらしいよ。

そういう街が話題でした。
新宿や渋谷、池袋は危機感を抱きました。
(とくに百貨店が悩んでいました)
若い世代に見捨てられると思ったのです。

流れで
「人は今、どこへ行きたい?」が
マーケティングの問題になりました。
その解決の糸口を求めて、
エリア・マーケティングに注目が集まりました。
学界では室井鐵衛さんが代表的な論者でした。

もちろん、それ以前にも、
マーケティング論では
地域の問題を扱っていました。

でも、それは…。
アメリカの広大な大地が舞台で、
都市Aの商圏(お客はどこから来店するか?)の
範囲の推定方法がメインテーマで、
都市Aと都市Bの中間にショッピングセンターを
作ろうよ!みたいな出店計画支援みたいで。

日本の問題意識に合わないし、
ひどくツマラなかった。
だから無視されてきました。

エリア・マーケティング(日本発祥かも)は
そこに登場したんです。

消費者の来街行動に焦点を当て、
「下北沢に遊びに行く人は、
 新宿にも行くのだろうか。
 吉祥寺に行くのでは?」
な仮説を次々に調査しました。

インターネットも
ビッグデータもない時代です。

なのに、アンケート調査と
データ解析技術を駆使して
面白い事実を世に提供しました。

実はわたしも。
研究所で消費者行動分析を
していた頃、いろいろと→🔗

で、繁華街について
いろんな議論がなされ、
(カッコつけて「都市論」と
 呼ばれていました)

田園都市とは?
コスモポリタンとは?
なんて抽象論に拍車がかかり、
現実味がなくて、みんな飽きてきて。
エリア・マーケティングは
いったん勢いを失っていきます。

これが初期(1.0)の概要です。

しかし地域は重要なテーマ。
いつまでも放って置けるはずもなく
再び話題になり始めます。

ただし手垢の付いた
エリア・マーケティングという言葉は
使われなくなります。
看板を「地域再生論」に取り替え、
「その土地を想う」
「その土地を論じる」
に興じていきます。

そう。2.0が始まったのです。

転換 2.0へ

エリア・マーケティング2.0では
個々の土地について熱く語る!が
基本のトーンとなりました。

2000年頃からの動きです。

人々がどのような地域へ行くか?
なぜそこへ行くか?
な実態究明には関心を向けず、

わたしが気になる地域、
わたしが好きな地域を
「ここ見て〜」的に
PRする風潮が強まりました。

関連する本がたくさん出ました。

山本容子さんの『東京五十景』(2004年)
中沢新一さんの『アースダイバー』(2005年)
荒木経惟さんの『トーキョー・アルキ』(2009年)
都築響一さんの『東京右半分』(2013年)
藻谷浩介さん&NHK広島取材班の
『里山資本主義』(2013年)

テレビ『ブラタモリ』は2008年から。

あぁ、こんな町、好きだなぁ。
こういう景色に惹かれるなぁ。
あんなところで暮らしたいよね。

そういう実例(固有名詞)が
数多く紹介されました。

だったら真似しちゃおう。
日本各地が動き出しました。

田舎にベーカリー。
古民家カフェ。
地元食材を使うレストラン。

小京都。小江戸。宿場町。
シーサイド。リバーサイド。
ワイナリー。ご当地スイーツ。

観光地が変わりました。
多くの人が訪れました。

集客が大目標になりました。
土地それぞれのストーリーが出来ました。
イベントのお知らせをネットでしました。
パワースポットが話題になりました。

それが
エリア・マーケティング2.0。

土地を熱く語り、
人気の出そうな施設を作り、
あらゆる手を使って集客。

みなさん、かなり成功しました。

でも、その陰で…。
地域の基盤を揺るがす事態が静かに進行。

日本の人口は長期的な減少期に。
(2008年から。総務庁は2011年説を
 唱えていますが、遅いと思います)

社会は世界一の超高齢化。
労働人口が不足。人不足。若者減少。

技術大国になれず観光国化。
国民の多くは豊かさを失っていく。
(一泊6万円のホテルなんて無理!)

仕事を求め、人々は都会へ。
東京一極集中。地方は超過疎化。

さぁ、どうする?
人気の観光地になれました!で
喜んでいる場合じゃない。

という危機感が徐々に強まり、
今、エリア・マーケティングは
次の段階へ脱皮しようとしています。

そして 3.0へ

で、
エリア・マーケティング3.0へ。

メインテーマは地域の発展です。
努力しないと地域が持たない。

過疎に悩む地方も。
人口集中で揺れる都心も。

地域を想ってくれる人が
絶対的に不足しているんです。

実例を挙げます。

政令指定都市、神奈川県川崎市。
人口155万人(2025年3月時点)を
誇る自治体で最近、町会が解散しました。
タワーマンションが林立する地域にある
町会です。その町会に参加する人が
いないんです。

タワマンには大勢住んでいるけど、
地域を想う人はいない。

ラタネさん&ダーリーさんの本
『冷淡な傍観者』を彷彿とさせるような
現実が今、日本の地域を襲っています。

仮住まい。他人と関わりたくない。
お金ない。時間ない。クール。

いろんな要因が
地域を想う人を減じていきます。

放置すれば、地域はダメになります。

確かに目の前に、その地域はあるんだけど、
その地域を想う人はもう誰もいないんだよね。

そうなったら、おしまいです。
なんとか防がねばなりません。

この問題に立ち向かうのが、
エリア・マーケティング3.0。

わたしは、そう思っています。

だから新作、出しました

地域を想う人を増やす。
そのためのプランを記した
『地域発展の原理と8つのプラン』。

矢嶋らしく、矢嶋ストーリーっぽく、
お金をかけずに実行可能なプランを
8つ載せてみました。

「おばあのお店が多めの地域」
「レコードが聴ける地域」
「みんなダンスな地域」
「花壇アートな地域」ほか

4つのプランが載っています。

エリア・マーケティング3.0の
本質に関連する、
地域発展の原理も解説します。

本書の文中に
エリア・マーケティングという言葉は
出てきませんが、このブログ記事を
お読みになったみなさんは、
「この本はまさに3.0だ」ということを
納得していただけると思います。

作品ページはこちらです。→🔗

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