みなさん、こんにちは
今日は、映画『ターミネーター』の話を書きます。
アーノルド・シュワルツネッガーさんが
未来から来た殺人マシン、ターミネーター
(Terminator:終わらせる者)を演じる
この作品、第1作(1984年)の公開以来、
人気シリーズでしたが、物語としては
前後が繋がらず、迷走を続けていました。
それが、36年後の2019年、
『ターミネーター・ニューフェイト』の公開で
ようやく決着。この作品のストーリーが、
真の第2話(本来のT2)だったようです。
映画産業って謎!な、この話。
以下のコンテンツでお送りします。
まずは第1作の話を書きます。
あのエンディングを思い出してください。
(作品間の繋がりに触れるのでネタバレあり)
(それダメな方は作品をまず。)
ターミネーター →YouTubeレンタル
ターミネーター2 → 同じく
ターミネーター・ニューフェイト → 同々
1984年、公開
第1作『ターミネーター』、面白かった。
印象的なオープニング・シーン。
(風が吹いて、閃光、全裸で登場)
ターミネーターの圧倒的な力。
(誰も止められない。警察署も襲撃)
ターミネーターの原題が The Terminator で、
Terminator は teminate (終わりにする)を
実行する者、すべてを終わりにする者だと
いうことなど知らず、
アーノルド・シュワルツネッガーさんが演じる
ターミネーターの大暴れにドキドキ。
あらすじを簡単に書くと、
コンピューターが人間を滅ぼす「審判の日」は近い。
抵抗する人間軍のリーダーを抹殺すれば、コンピュー
ターの勝利は確実だ。過去にさかのぼり、リーダーの
生みの親を殺せ。で、殺人マシン・ターミネーターが
1984年のロサンジェルスに現れ、母親を探し始める。
という話です。
そしてストーリーは、なんだかんだあって、
母親は逃げ切り、ターミネーターは破壊され、
ラストシーンを迎えます。
そのシーンをご覧ください。
サラ(母親です)はジョン(人間軍のリーダー)を
身籠っています。
銃を持ち、シェパード2匹を連れています。
明らかに、次のターミネーターの来襲を
警戒しているのです。
サラはアメリカの南にあるメキシコへ。
身を隠して、生き残るつもりです。
電話帳と自宅にある免許証の写真だけで
ターミネーターに見つかった恐怖、
(インターネットもスマートホンもないのに)
保護してくれたアメリカの警察署が
かんたんに全滅した恐怖。
それを考えれば、当然です。
そのメキシコ行きを予感させるように
このガソリンスタンドのシーンには
スペイン語を話す少年が登場します。
その少年の言葉を英語に訳し、
“He says there’s a storm coming in.”
(ガソリンスタンドのオジサン)
“I know.”
(サラ)
この最後の会話を残して、
サラは姿を消すのです。
そして1991年、『ターミネーター』の続編
『ターミネーター2』(T2)が公開されます。
ターミネーター2へ接続不能
T2の冒頭、なぜか、サラ(:母親、
前作に続きリンダ・ハミルトンさん好演)は、
アメリカにいます。
メキシコから、いつ戻ったの? には触れず、
いきなり精神病院に、
精神異常者として収容されています。
収容理由は「審判の日」について
ブツブツいうから。ときに暴れるから。
でも…。1984年、大都会のロサンジェルスで
警察署が「謎の誰か」に襲撃され全滅。他にも
銃乱射したディスコ等に大勢の目撃者がいるのに
ターミネーターのことは誰も知らない???
そして、あのお腹の子(人間軍のリーダー、
ジョンといいます)は、母親と引き離され、
親戚に育てられています。
場所は同じロサンジェルス。
そしてまたもや。
今度は直接、ジョンを殺すために
ターミネーターが未来からやってくるのです。
う〜ん。
映画は、とっても面白くて、楽しかったんだけど。
映画の途中に、
前回、破壊されたターミネーターの破片の話
(極秘になっている)も登場するんだけど、
観ていて違和感がありました。
サラさん、ジョンくん、
なんでわざわざ見つかりにくるかね?
同じロサンジェルスに住まなくても
いいんじゃない。
この違和感、T2の続編、
『ターミネーター3』(T3、2003年)になると
もっと大きくなります。
T3以降、サラは
スクリーンから消えます。
とくに説明もなく、何事もなかったように。
「忘れてね」と言わんばかりに。
36年ぶりに謎が解けた!
「あの(第1作の)ラストシーンは、
なんだったんだろう?」
ずっと引っかかっていましたが、2019年、
『ターミネーター・ニューフェイト』の
公開プロモーションを見て、ビックリ。
そこには年老いたサラの姿が…
(リンダ・ハミルトンさん復活) ⤵️
「どうも」
「お久しぶりです」
「ご無沙汰しております」
予告編だと、よくわかないけれど、
彼女が出ているということは、
T2の続き?? ひょっとすると…
予感がするので、映画館へ。
そしてスクリーンに映し出された物語とは…
(衝撃を抑えて説明すると)
1998年、場所はグアテマラ Guatemala 。
リヴィングストン Livingston の海岸で
ターミネーターにジョンは殺されます。
👇🏾👇🏾👇🏾😱
グアテマラは、ここです⤵️(Wikipediaより)
メキシコのさらに南に位置します。
冒頭にサラッと流れるシーンですが、
そこに描かれてる情報を整理すると、
1985年にジョンが生まれたとして、
殺される1998年までの12〜13年を
中南米に身を隠して…
この流れ、
第1作と完全につながります。
この『ニューフェイト』こそ、
第1作の続きだったのです。
映画産業って、謎
いやぁ、腑に落ちました。
納得しました。
サラはアメリカに戻らなかった。
そしてターミネーターは来襲。
グアテマラでついに見つかり。
人間軍のリーダーは成長する前に
殺されてしまった。
なんとも悲劇的な結末。
小説『ティアニーで朝食を』の
ラストシーンみたい。
(ハンピーエンドな映画とは違います。
ご存じでしたか?)
すると新しい疑問が! ジョンが死んだのに、
コンピューターが人間を滅ぼす「審判の日」は
来なかった。なぜ? 未来に何が?
そこは本編をご覧ください。→ Go YouTube
それにしても、ターミネーター、
『ターミネーター・ニューフェイト』で完結するまで
36年かかりました。
なぜ36年も?
当然、疑問が湧いてきます。
T2ではなく、すぐに
『ターミネーター・ニューフェイト』を
制作・公開しなかったのか。
稼ぐ機会を手放したくないから。
それが答えでしょう。
あれだけ完全にストーリーがつながっている
ということは、第1作のラストシーンを撮った時に
『ターミネーター・ニューフェイト』の冒頭は
既に脚本として書かれていたのでしょう。
けれど、そのまま作品化すると、
ジョンを殺しにターミネーターが現れるのは中南米。
地味。1作目の派手な襲撃とかカーチェイスは無理。
やっぱり舞台はアメリカの大都会でないと!
そんな話が会議で出たのでしょう。そして
何より問題なのは、ジョンが死んでしまうことだ。
死んでしまったら、ターミネーターが来る理由が
なくなり、ターミネーターが来ないと、この映画の
シリーズ化ができない。死ぬは絶対禁止!
になったはず。
そして、
アメリカの大都市にジョンを殺しに来る、
ターミネーター(新型)が大暴れな
T2の脚本が書かれた。
すると狙い通り、大ヒット。
「ほらみろ、やっぱり!」になって、
ジョンは永遠に逃げ続けて、何回も
新型のターミネーターの凄い奴が来襲し、
味方のターミネーター(シュワちゃん)と
戦い続けるんだ。よし、これで決まり!
になった。そう考えると、全てがうなずけます。
けれど、今回、
そのT2を撮ったジェームス・キャメロン監督が
プロデューサー(資金調達&利益約束の係)になって
『ターミネーター・ニューフェイト』が
制作されました。
その意図、
「これが本当のストーリーなんだ。ごめんね」
なように、わたしには思えます。
映画のタイトル(原題)を
Terminator: Dark Fate (暗い運命)にしたのは、
「こっちは暗い結末だから没になった」との
暗示ではないでしょうか。
そうだとすれば、
邦訳題の『ニューフェイト』(新しい運命)は
ちょっとズレている気がします。
それにしても、ハリウッドって、
大ヒットしたら、引っ張る、引っ張る。
映画産業って…謎ですね。
矢嶋 剛
P.S.
『ニューフェイト』、リンダ・ハミルトンさんの
演技がよかったです。この人は達者! そして
マッケンジー・デイヴィス Mackenzie Davis さんの
存在感もよかった。こんな人。
長身で、腕が太く長い女性。
日本映画に見られないキャスティング、
そして大きな演技。イイ感じです。
もう一つ、この映画から感じる
社会へのメッセージについては
次の投稿で触れることにします。
ターミネーター7(2023年)には
驚きました。まだ引っ張る?