紙の新聞、優れもの

みなさん、こんにちは
 
今日は、新聞について書きます。

新聞は、世の中の動きを
短時間で幅広く知るために
工夫を重ねてきたメディアです。

紙面(紙の新聞)は、その究極の形。

政財界の人が紙の新聞を読むのは
旧世代だからではなく、紙面の価値を
知っているからなのです。

そんな新聞の知られざる実力を
ご紹介しようと思います。

コンテンツは以下の通り。

紙面(紙の新聞)の底力、堪能ください。

世の中の動向をつかむには

まず最初に、
人と情報の関係について書きます。


人は神様じゃないので、見聞きできないことを
知ることはできません。

昨日、ヨーロッパで何が起きたのか。
コーヒー豆の先物価格は、今いくらか。
あの店は、今日、営業するのか。

情報から遮断されれば、何も分からない。

分からないと、過去の情報に頼る。

現状とズレが生じる。(浦島太郎🐢🤷🏼‍♂️状態)

世界が狭くなる。(虫の眼🐛👀状態)

死に体になる。(ゾンビ🧟‍♀️🧟🧟‍♂️状態)


それでも生きていけますが、
広大で、複雑で、流動的な世界を
相手に仕事をする人は、

・気づかない
・知りえない
・とるに足りない

世の中の動向を
幅広くつかんでおく必要があるのです。

では、どうやって?

テレビ:情報が少なすぎる

ラジオ:同じく

雑誌 :遅すぎる

ネット検索(自分で探す):非効率、偏向する

ネットのニュースサイト:情報が少ない 評論が多い


あらためて考えてみると、
日々のニュース、その量は
新聞が圧倒的に多いのです。

  注)もちろん、その量は
    新聞各社の能力に依存しています。
    海外国内を問わずニュースを他社 
    (例 ロイター、共同通信など)から
    買っている新聞社は存在します。

  
ですから新聞は
読むのに時間を要します。

読売、朝日、毎日、日本経済新聞の朝刊は
一紙30分くらいかかります。
(日経の研究所にいた頃、習慣として
 この4紙+を読んでいました)

情報が多いから当然なんです。

専用車やハイヤーで送り迎えされる
社長さんが、朝、車中で新聞を読むのは
そのため。

多くの情報を知るには一定の時間が必要。
情報の重要性を知る人ほど、
このことを知っています。

紙面(紙の新聞)は秀逸

「でも、新聞以上に効率よく、
 知る方法もあるんじゃない?」

そう思われる人もいるでしょう。
当然です。インターネットを通じて
多くの情報に接することができるのですから。

では、その疑問に答えていきましょう。


まず理解いただきたいのは情報の確度、
(つまり確らしさ)です。

新聞社の記者は、新聞記事を書く能力を
身に付けています。新聞記事は、
4W(when who what where )から成る事実を
記事にします。裏(確たる証拠)の取れない
憶測や推測は記事にしません。

ですから新聞記事は
情報としての確度が高いのです。

事実だからこそ、
新聞社の信用が維持されている、
とも言えます。

フェイクニュースや「伝聞の伝聞の伝聞」が
混じるネット情報より信用が置けるのです。

お疑いの方は、
情報の4W(when who what where )チェックを
してください。テレビよりも、ネットよりも
新聞のほうが正確であることを確認ください。


次に、紙面という情報掲載法の秀逸について
説明します。

どうすれば効率よく、たくさんの情報を
読めるでしょうか。

ネットの検索結果(例 Google)、
あのようなリスト・スタイルは
どうでしょう。

そこに今日のニュースが
載っているのです。

それを、どこまで
スクロールしますか?

延々と? しませんよね。
検索語で絞った検索結果でさえ
わずかしか続かないのに。

検索語で絞らないランダムな情報なら
尚更です。

ところが、新聞の紙面なら
それができます。

ページを開くと、
リスト化されていない情報(記事)が
空間的に散りばめて配置されています。

(ひと目で見渡せる情報の数=見出しの数、
 今度、数えてみてください)


そして記事には
一読でわかる見出しが付いていて、
読むだけで「読む」「飛ばす」の判断が
できます。

記事の大きさで、その重要性を
体感的に推測することもできます。

こうした工夫があるので、
読者は、たくさんの情報の中から
気になる情報を効率よく選んで
読むことができるのです。

加えて…
新聞の紙面はPCのディスプレイより大きい。

ということは、

新聞の紙面にみたいな情報表示をPCでしても、
一目で見渡せる情報量は紙面のほうが多い。

しかも、紙の新聞は、
いつでも、どこでも好きな時に読めます。

デバイスを持ち歩かなくも済むし、
wifiの電波を気にする必要もないのです。

秀逸だと思いませんか。


検索をしない!凄さにも触れておきますね。

検索って、した段階で
得られる情報を制限します。

知りたい情報に近づくには有利ですが、
自分の予想もしなかった情報に
近づくときには不利に働きます。
その情報がまったく意外で、
ふだんのあなたにとって縁遠いときは、とくに。

そういう視野の狭さを
紙の新聞は打ち破ってくれるのです。

この打破力を、企業経営者は
大切にしています。

仕事に没入するほど触れる情報が限られ、
偉くなるほど心地よい情報しか流れてこない。

その危険を彼らは痛いほど知っているのです。


「でも、紙の新聞って、
 発行している新聞社が否定っていうか、
 推してないでしょ。
 電子版のほうが優れているんじゃない?」

確かに推しています。

でも彼らも気づいてます。

新聞の電子版は
期間限定の記事検索データベース
過ぎないってことを。

検索語を思い付く情報を
漏れなくチェックするには滅法強いけれど、
それ以上の広がりは期待できなくて、

紙の新聞のほうが遥かに読みやすい
ということも。

その証拠に、各社の電子版のサイトには
なぜか紙面で読める機能が付いています。
(よく考えると、不思議でしょ!)

覚えておいてください。

・情報を幅広く知るには→紙面(紙の新聞)
・知りたい情報のチェックには→検索(電子版)

紙の新聞と、電子版は別物です。
その機能が違うのです。

ブログ・矢嶋ストーリーnewsの「紙の新聞 vs 電子版 どっちが凄い?」という記事のOGP画像です。 この記事は、従来からある紙の新聞と電子版を比較し、それぞれの有用性について述べています。 ですから、OGP画像にも紙の新聞と電子版を対比させるイラストを使用します。 イラストはシンプル。左に新聞紙を開いたような画像(紙の新聞を象徴)、右にタブレットを イメージさせる画像(電子版の新聞のシンボルとして)を置いています。両者の間には すこし空間があり、そこに「vs」の文字が置かれています。意味はversus(:vs.、対)。 両者の比較を暗喩しています。矢嶋剛・画。

付け加えておくと、

電子版は検索を特徴とするので、
ネット検索と同じ弱点を有しています。

①自分の知らない言葉を検索語にできない
 (:既知の世界をウロウロ)

②サイトの検索体系に無自覚に従いがち
 (:関連記事を読んで満足)

このこと、忘れないでください。

こんな微動に気づけます(事例)

では、紙面(紙の新聞)を読んでいれば、
重要な情報に辿り着けるのでしょうか。

議論の材料として、
1つのケース(記事の読み方)を示します。

今回は日本経済新聞で例示をしますね。


日本経済新聞の地方経済面(:全国報道する価値が
ないニュースを集めた特定都道府県向けの紙面)

こんな記事が載りました。

「 東京都八王子市で…
 水道料金、値上げを検討」


小さな記事でしたが、
もしこの通りになったら、
社会や経済に与える影響は
非常に大きなものになります。

以下の展開が予想されるからです。

展開1
地方自治体は水道の維持費を捻出できなくなる。
八王子市は既に耐えきれないほど財政状況が悪化。
だから記者に情報をリーク。
首都圏で真っ先に悲鳴を上げたに過ぎない。
あとに続く自治体が次々と現れるはず。

展開2
地方自治体は水道の維持を諦めるかもしれない。
過疎地域(例 限界集落)で水道の維持を断念。
水道のない地域が全国で広がる。
同じ理屈が道路や電力に適用されていく。

展開3
水道を維持できない自治体から住民が出ていく。
水道の充実する都市部の人口が増加する。
地方と都市部のインフラに決定的格差。
財政赤字に陥る地方自治体に打つ手なし。

これが、この小さな記事のインパクト。

悲劇的ですが、地方自治体の財政運営を見ると
「ありうる」話です。

さて、
この記事の掲載後、何が起きたと思いますか?

・他の地方自治体も苦境を公表

・国会で、水道料金を下げる方策を議論

・民間の会社に水道を運営させる案が浮上

という大きな流れを生み出したのです。


世の中、いきなり変わりません。

何事にも兆しがあり、

それが徐々にエネルギーを蓄え、
ある日、表に姿を現します。
(事件になる、マスコミが騒ぐ)

このケースも同じ。

重大な微動が、ある日、チョロッと
顔を出したのです。🐀🕳️

こういう情報を探す(見かける)には、
紙の紙面が有利です。

ざぁ~っと全体を見渡す中で
ふだん考えもしない「おや?」に
気づけるのですから。


実は、この情報感覚、
今後を予測する人は
共通して持っています。

彼らは、
国内メディアが大々的に報じる「事後報告」
たとえば、

・〇〇法、国会で成立
・企業の決算
・国際会議の共同声明

に関心を向けません。

彼らが触れたいのは、さきほどの
「東京都八王子市で…」
ような微動なのです。

広がる情報格差

いかがでした、 紙面(紙の新聞)?

新聞販売店のみなさんは、
こんな凄い👍🏾👍🏾👍🏾を配達しているんです。

半面、
新聞を読まない人も増えています。

読まないので、情報格差が
どんどん広がっていることに
気づきもせず。

最後に、そんな話を書きます。

(ヤバいよ🚨、ヤバいよ🚨)


ますます広がっている情報格差。
その推進役は無自覚です。

毎日、多くのニュースを見逃しているのに、
重大なニュースもあるのに、
気づかない。


その言い訳がネットです。

「新聞なんか要らないよ。
 テレビのニュースも。
 だってネットで見れる」

と言うのです。

本当でしょうか?

一部、当たってます。
ネットでニュースは見れます。

でも、そのニュースって…
芸能界、事件・事故、スポーツが中心です。

Yahoo!ニュースのランキング然り、

ライブドア・ニュースのランキング然り。


「女優の〇〇さんが注目発言」
「〇〇高速で追突事故」
「〇〇監督、審判に猛抗議」

こうした情報がニュース風に語られる。

それが日本の「ニュース」の現状。

「ちょっと誤解しないで。
 そこまでヒドクないわよ」

な人が見ている
夕方のニュース番組(例 news every.)も
大差はありません。
さすがに芸能ニュースは減りましたが、
(以前は、〇〇さんコンサート中止まで放送)

事件・事故、迷惑行為、年金不安、
人気の食堂&観光スポットが、
主なニュースです。

みなさんの見ているニュースって、何?

🤫🙄🤔

その一方で、
紙の新聞を読んでいる人がいるわけです。

世界の動き、政府や企業の動向を
事細かにつかんでいる人がいるんです。

この情報格差、怖すぎます。


「どんなニュースもインターネットに」は
大いなる誤解です。

別の言い方とするなら、
情報を必要としない日常から生まれる
誤謬(ごびゅう)と言えるでしょう。

わたしたちは、今、
そういう情報環境に囲まれて
日々を過ごしているのです。

        矢嶋 剛