ミステリーに手紙の文例、美文です!

みなさん、こんにちは
 
今日は、手紙の書き方について
綴ってみます。

みなさんは、手紙の文を
考えるとき、どうしていますか。

お祝いや、お悔やみ、
ビジネスのメール文。
書き方がわからないとき、
どうしていますか。

ネットを検索して、
文例をコピペでクリア!
かもしれませんが、

あの手の文例は
失礼のない最低ライン。

人の心に響く手紙は
あれではダメ。

そんな悩みに効くのが
ミステリー小説です。

ミステリーには
手紙がたくさん使われます。

そして、その手紙は美文です。

今日は、こんな話をお届けします。
コンテンツは以下の通り。

手紙、上手になりましょう。

では、まず最初に
最近の手紙事情に思いを馳せます。

手紙の文例が見つからない

手紙を書かなくなりました。

メールさえも。

LINEのトークや
SMS(スマホや携帯電話のショートメール)
事足りている人も多い。

ですから当然、

手紙、書けなくなります。

でも書かねばならぬ時も
あります。

きちんとしたお祝いの挨拶、
失礼のないお悔やみの言葉。

自社の礼節を問われる
ビジネスメール。

ところが、書けません。
書いていないから
書けないのです。

困って、慌てて、ネットで検索。
適当な文例をコピペして、
その場をしのぎます。

でも、それでOKなのは
上辺だけの挨拶で済む場合。

誰かに心を込めて、
手紙を書きたいとき、
ネットの文例は役に立ちません。

あの手の手紙文は
失礼にならない最低限の、
味も素っ気もないレベルですから。

ほんとに欲しいのは、
心に響く手紙の文例。

でも、ネットで検索しても
見つからないのです。

手紙文例集(最低限ばかり)も役に立たず。

それが、最近の手紙事情だと
思います。

ミステリーには名手紙が、いっぱい

「よい手紙の文例が欲しいなぁ」

わたしも、そう思い続けていました。
そして、ある日、気付いたんです。

「そうだ、小説の中の手紙!」

読んできた小説に、手紙の箇所が
あったことを思い出したんです。

確かに、あれは、いい文章
だった気がする。

そう思って、本棚の本を
開いてみると、ありました。

けっこう、たくさん。

「なんだ、こんなところに
隠れていたの」

なんて😃しながら、
参考になりそうな本を選んでみたら…

ミステリー小説、しかも謎解き用の、
犯人が書く手紙に「お手本にしたい」が
多いことに気づきました。

・全体の構成がしっかりしていて
・説得力があって
・心に響く
・美文

そんな文が多いんです。

一例を
日本の小説から
お目にかけましょう。

実例 『点と線』の手紙

松本清張さんの『点と線』。
鳥飼重太郎という老刑事が書いた手紙。

 長い間、ご無沙汰いたしました。初めて博多でお目にかかって以来、三ヵ月たちましたが、性来の筆不精のため失礼いたしております。今回、思いがけなく長文の御芳簡をいただき、まことにありがとうございました。小生の失礼をお詫び申し上げるとともに、御芳情を厚く御礼申し上げます。
 早いもので、はじめてお目にかかったときは、まだ玄界灘の寒風が吹く早春でしたが、ただいまではもう五月の半ば、陽ざしの中を歩くと汗ばんでまいります。当地名物のどんたく祭は、この月のはじめに例年のごとくにぎやかにおこなわれましたが、これを過ぎると当地では夏の来る前ぶれとなります。ついでながら、お暇のときはぜひ一度、博多どんたくを御見物においでくださるようおすすめ申し上げます。

(中略)

 久しぶりに御芳簡をちょうだいしたうれしさに、とりとめのないことを長々と書きまして恐縮でございます。それに老いの繰り言めいたこともまぜて書いたようでおはずかしいしだいです。俊鋭の尊台と違い、小生はおいぼれの駑馬で、とるに足らぬ愚見を長々と申し上げて汗顔のいたりでございます。御憫笑ください。

(以後、略)

あらためて読んでみて、感心しきり。

なんと美しい手紙なんでしょう。
こんな手紙をもらったら、
感激しちゃいます。

もし書けたら、
すばらしい人生が訪れる。
そんな気さえしてきます。

ミステリーなんでネタバレ防止のため、
手紙全文は書きませんでしたが、
読む価値あります。ミステリーとしても
傑作なので、この機会にぜひ😆⤵️

ブログ・矢嶋ストーリーnewsの「ミステリーで 手紙を学ぶ」という記事のOGP画像です。 この記事で、美しい手紙の書き方を学ぼうと提案しています。 そのすばらしいテキストとして今回は、松本清張さんの小説『点と線』を 取り上げました。ですから、OGP画像は、光文社カッパノベルス刊の 『点と線』の表紙の一部を使わせていただきました。
写真は光文社のカッパノベルス版(私の蔵書)。
絶版。でも新潮社から文庫本が出ています。

ということで、
お手本にしたい手紙文、
ミステリー小説に!

みなさんも、見つけてぇ!

でした。

上手な手紙を書くコツ

それにしても、小説は盲点でした。

でも考えてみれば、
小説家は文章のプロ。

状況を的確に描き、
心情を余すところなく伝えるプロですから、
名作に名手紙があるって、
当然と言えば当然だったのです。

と思わず、過去形(…だった)に
なってしまったように、わたし、

お手本にしたい手紙文を
小説の中から、
せっせと集めています。

そして時々、書写します。

同じ文章をキーボードで
打ってみるんです。

狙いはコピペじゃなくて、
文体を覚えるため。

書き写しながら、
言葉やフレーズ、文のリズムを
身体に覚えさせるんです。

すると、不思議。

手紙文のいいところが
自分のものになっていきます。

そして鍛錬を積んで、いつの日か、
思う通りに手紙を書きたい。

そう願いながら過ごしています。

         矢嶋 剛