フラン・レボウィッツさん3冊の感想

みなさん、こんにちは
 
今日は、群れるの嫌い、煙草と読書と睡眠が好き、

辛口コラムニストでエッセイスト、有名人で、

作品にニューヨークなジョーク満載で、

今も元気な Fran Lebowitz さんを、

著書『嫌いなものは嫌い』
  『どうでも良くないどうでもいいこと』
  『チャスとリサ、台所でパンダに会う』の

読書感想文で紹介します。

こういう人、日本人にいない!で
お送りするコンテンツは以下の通り。

こんな調子で、3冊の感想を織り交ぜながら。

まずは他己紹介です。🤚🏾

こんな人です 🚬

テレビに出て、
「みんなでトランプ(大統領)を殺しちゃう?」
と言って、ヤンヤの喝采。
    on twitter 2019年5月18日(動画)


そんな人です。

はっきり物を言います。

いい面構えをしています。

フラン・レボウィッツ Fran Lebowitz 著『嫌いなものは嫌い:メトロポリタンライフ入門』(原題 Metropolitan Life )の表紙です。フランさんの面構えがいい。

1978年の販促ポスターの写真です。
(1981年の和訳本の表紙に転用)

現在も堂々としていらしゃいます。

職業、もの書き。
煙草🚬と読書📚と睡眠🛌が好き。
アメリカ、ニューヨーク暮らし。
群れるの嫌い。有名。

エッセイが秀逸。ベストセラー2冊が
運よく翻訳されているので紹介します。
(読書感想文3冊のうちの2冊)⤵️

エッセイは激辛🌶️

では1冊目。『嫌いなものは嫌い』。
(原題 Metropolitan Life )

先ほどの和訳本です。(再掲)

フラン・レボウィッツ Fran Lebowitz 著『嫌いなものは嫌い:メトロポリタンライフ入門』(原題 Metropolitan Life )の表紙です。フランさんの面構えがいい。

電話で起こされたくない!(寝ていたい)
で幕を開けるエッセイ集は、
全編、ジョーク連発。

彼女のジョークは…なんと言うか…

「それ、当たってる。そうそう。
 痛烈だけど、最高に笑える~」

って感じの物言い。たとえば、

ロサンジェルスから声まで陽に焼けた男が
電話口で言う「△※○@*」
( ニューヨークじゃ考えられないよね! )

こんな感じ。

伝わりました? ちょっと心配なので
もう少しちゃんと引用しますね。

「野心家のための職業ガイド」より。

これ、
「あなたに適性があるかテストを考えた。
 以下の質問に答えよ!」なジョークで
こんな質問が載っています。⤵️(32ページ)

いわゆる有名人になりたい人のために
(中略)

4.あなたにとって外での夕食は?
 a.楽しみ
 b.気分転換
 c.友だちに会うチャンス
 d.ロマンチックな出来事
 e.仕事

5.あなたが考える素敵なパーティーとは?
 a.お酒がたくさんあって騒がしいパーティー
 b.楽しい会話、おいしい食べもの、素晴らしいワイン
 c.親しい友だち数名とかこむ夕食とブリッジ
 d.自分が招待されないパーティー

あなたはどの選択肢を選びましたか?

こういうノリなんですが、
a.を選んだ人は〇〇〇です(例 向いてます)的な
解説はありません。ただ質問が続く。

一見❓ですが、
彼女が何を伝えようとしているか判ると🤣

せっかくなので、別の職業適正テスト
「女王になりたい人のために」の質問も
一部引用してみます。(33&37ページ)

3.なくなったら途方にくれるものは?
 a.電動歯磨き
 b.電話受信サービス
 c.コーヒー・メーカー
 d.おかかえの毒見役

10.異性が一番魅力的に見えるのは?
 a.テニスをしているとき
 b.眠っているとき
 c.ダンスをしているとき
 d.笑っているとき
 e.ひざまづいているとき

伝わりましたか、彼女の作風。

文章の妙も知っていただきたいので、
「子供をレストラン評論家に育てたいママ」の
教育成果(=「お弁当どうだった?」の感想)を
どうぞ!(71ページ)

ママ、サンドイッチはじつに美味だったよ。ワンダー・ブレッドの柔らかい歯ごたえがピーナッツ・バターとグレープ・ゼリーに見事に調和していた。にんじんのスティックはうっとりするほどの甘みがあって、噛むたびに崇高な味がするんだ。チョコレート・ドリンクは子供っぽいけど全身に力がみなぎる感じだし、ヤンキー・ドゥードルときたら雪のように白いクリームとしっとりとしたケーキのシンフォニーだね。チョコレートの香りがするアイシングがたまらなく魅惑的だったよ。

かなり痛烈で、その時代、ニューヨークにいないと
わからない(:ピンと来ない)所もあるけど、
切れ味は抜群。

エッセイストとして売れた理由。
わかります。

なので連読。2冊目
『どうでも良くない どうでもいいこと』
(原題 Social Studies )の感想です。

フラン・レボウィッツ Fran Lebowitz 著『どうでも良くないどうでもいいこと』(原題 Social Studies )の表紙です。フランさんの目線が鋭い。

売れちゃった後(貧乏脱出後)のエッセイ集です。

「ボロアパートから引っ越すぞ~」
「それにしてもニューヨークの不動産事情って変!」

な話がオカシイ。

前作同様、ニューヨークなジョーク連発。
ただトーンはマイルドに。
(:話が整理され、やや教訓的)

けれど、やっぱり、おもしろい。

本当の大金持ちがロマンチックに憧れ、結婚相手に
自分よりレベルの低い人を選びたいなら!を綴る
「百万長者と結婚しない法」の中から引用します。

Ⅰ.より貧しい人の集まる場所(21ページ)

貧しい人間はあなたのお兄さんと一緒にプレップ・スクールにも通わないし、あなたのブローカーと競馬場に出入りもしない。ドーヴィルで優雅に賭事をして負ける仲間にも入っていない。コロンブス前期の宝石に対する関心を分かち合うこともなければ、料理人をからかって楽しんだ子供時代の思い出を共有することも、グスタードの地価についての知識を交換することもない人びとだ。だから、あなたが偶然に貧しい人間と出会うチャンスはほとんどないに等しい。積極的に探し求めるしか手はないことになる。

Ⅲ.より貧しい人にいってはいけないこと
           (24-25ページ)

a 車道をふさいでいるブルーのダイムラーは、
 あなたのかしら?

b …結局、いつも責められるのは大株主のほうなのよ

(中略)

e 考えてもごらんなさいー ここのウェイターたちは
 大儲けしているのよ

f あら、制服ね、なんて素敵なアイデアでしょう?  

ねっ、笑っちゃうでしょ!

他にも日本にいると思い付かない
色んなプロット(筋立て)が😹😂。

彼女のジョークは最高です。

とはいえ、魅力はそれだけでは無くて、
言葉に対する意識がとても高いのです。

ということで次の話へ。

言葉に鋭敏 ✍🏼

今紹介した2冊の中に、言葉の対比表が出てきます。

本当に表なんです。文章じゃなくて。

たとえば2冊目の『どうでも…』には、
以下の表が出てきます。(79ページ、一部抜粋)

自然人工
太陽
悠々なる時の流れ
ミルク
肥えた土地
小麦
オーブン・トースター
七秒間の遅れ
バター
二五%分の不労所得
クラムソースのパスタ

一見❓ですが、この表は、フランさんが
「わたしたちの暮らしって自然から離れていく!」を
意識するために、自然(たぶんこちらを先に連想)が
どんな人工に置き換わったか?を整理する手法で、

こうやることで、フランさんの表したい「自然」と
「人工」のイメージ(:観念より概念に近そう)を
磨いているのだと思います。

読者はその思考(面白い!の秘訣)も見れる!
というわけ。

そんな言葉の鋭敏に、エッセイとは別のアプローチで
触れられる作品を3冊目に紹介します。それが、⤵️

フラン・レボウィッツ Fran Lebowitz 著『チェスとリサ、台所でパンダに会う』(原題 Mr.Chas and Lisa Sue meet the Pandas )の表紙です。パンダ2頭が廊下を歩いています。どこかぬいぐるみっぽい。

『チャスとリサ、台所でパンダに会う』です。
(原題 Mr.Chas and Lisa Sue meet the Pandas )

これは、創作童話。物語です。
ジョークは一切なし。
おだやかで、優しい話。

主人公の一人、男の子、チャスは
作中で盛んに辞書を引きます。

アナウンサーは僕がやる。レースで使う言葉は辞書で調べるよ。(26ページ)

「動揺する」っていう言葉は、いらいらする、とか、やきもきする、とかいう意味だけど、リサ・スーに教えてあげたのはこの僕だ。(26ページ)

ちょっとナーバスになった。こっそり孤独に「頭がぐるぐるになった」って意味だよ。(44ページ)

「言葉と、こう向き合うのよ」と
フランさんが子供たちに語り掛けているよう。

ジョークの果てに、フランさんが見つけた
「やらなければ!(=言葉を大切に!)」を
見たような気がします。


フラン・レボウィッツさん。
あまり馴染みがないかもしれませんが、
一読の価値、あると思います。

和訳本の意訳が残念すぎる

最後にちょっと残念なお知らせです。

今日ご紹介した3冊は、フランさんの作品を
日本語で読める貴重な存在なのですが、

意訳が過ぎるのです。

本それぞれの原題をすでに書いたので
気づいた人もいると思いますが、

和訳のタイトルは原題と全く違います。

1冊目『嫌いなものは嫌い』の原題は
Metropolitan Life (大都会生活)です。

全然、ちがうでしょ😨 しかも、
「嫌いなものは嫌い」は作中に無い。
つまり、このフレーズは出版社が
勝手に付けたキャッチコピー。

原題では売れない!と踏んだ結果?


2冊目も同じイジリが…😨😰

『どうでも良くないどうでもいいこと』の
原題は、Social Studies (社会科 or 社会研究)。

またまた、まったく違うでしょ!
原題では売れない! と確信した?
出版社さんがキャッチコピー再び 。


そして、まさかの3冊目も😱😱😱

『チャスとリサ、台所でパンダに会う』の原題は、
Mr.Chas and Lisa Sue meet the Pandas です。

「台所で」は付いていません。
しかも「台所で」会っていません。

つまり明らかな嘘。でも「台所で」を付けたら
「えぇ、それ何?」で関心倍増で売れると踏んだ
出版社さんが勝手に? 童話なのに?

もっと細かいことをいうと、翻訳にも
?な意訳が混ざっています。
1冊目と2冊目が😔。ともに小沢瑞穂さん訳。

一例を挙げると『どうでも…』15ページの
花子と美智子。フランさんがこの字を書いたとは
とても思えない。⤵️(その箇所)

時代によって差はあるが、ほとんどの人が同じ名前で呼ばれている時期もある。フツーの花子がフツーの美智子になる例は多い。

3冊の版元は、いずれも晶文社さん。

なんでこんなことを!
変だよ~

と想う一方、
晶文社さんが手を挙げなかったら、
フランさんの訳本は世に出ていないのです。

Thank You (^▽^;)


そういうの嫌な人は、

『嫌いなものは嫌い』   
 (原題 Metropolitan Life )
『どうでも良くない どうでもいいこと』
 (原題 Social Studies )
が両方載っている新しい本、
The Fran Lebowitz Reader を読んでください。
(電子書籍あります)

英語だけど、生(なま)フランさんに
出会えると思います。

          矢嶋 剛